高齢になると筋肉の衰えなどによって、若い頃と同じように歩くことは難しくなります。
歩行介助をする上では、高齢者の歩行の特徴を知ることが重要です。高齢者の歩行の特徴は、歩幅が狭くなり、歩くスピードがゆっくりになることです。若い頃はスタスタと歩いていても、年を重ねるごとに歩幅が狭くなり、歩くスピードも緩やかになります。
筋肉の衰えや関節の可動領域が狭くなるのが主な原因ですが、転倒に対する恐怖心もスピードの低下につながっていると考えられます。
高齢者は歩幅が減少するのに対して、両足の間隔は広くなります。その結果、前には少しずつしか進めない上に、歩行時に体が右左にゆさゆさと揺れるので、歩くのが遅くなるのです。
研究発表では、歩くスピードが1秒間に0.1メートル早くなると、死亡するリスクが12%低くなると報告されています。歩く速度は、若さのバロメーターといえるでしょう。ちなみに、一般的な歩行速度は、1秒間に1.37メートルといわれています。
スピードの低下に加え、足が上がりにくく、すり足のように進むのも高齢者の歩行の特徴です。わずかな段差や道の傾斜でも足が引っかかり、転倒しやすくなります。
また、筋力の低下などで体幹が安定せず、体がフラつきやすくなるため、さらに転倒リスクが高まるのです。
高齢者が転倒すると骨折しやすく、そのまま寝たきりになる可能性もあります。介護で歩行介助を行うときは、転倒防止が大切です。そのためには、高齢者の歩くペースを崩さないことがポイントです。ゆっくりでも確実に、一歩ずつ進めるようサポートしましょう。このような高齢者の歩行の特徴は、介護の現場で役立つ知識の一つです。